Security 世界最高クラスの発光効率ハイパワー赤外LED
赤外LED
導入事例
TOA株式会社様
TOA株式会社様のセキュリティカメラ“TRIFORA”シリーズに、弊社のハイパワー赤外LEDをご採用頂きました。今回はスタンレー電気の赤外LEDをご採用頂いた背景、採用による効果、今後のセキュリティカメラの進化などを、TOA株式会社グローバル開発部の國武様・増子様に伺いました。グローバル開発部ソリューション開発部國武様
グローバル開発部ソリューション開発部増子様
高画質・長時間記録・高感度を特徴とした屋外用映像カメラ
今回赤外LEDをご採用頂いたセキュリティカメラの製品紹介をお願いします。
2014年に発売された第一世代をフルリニューアルした、第二世代“TRIFORA”シリーズとなります。2018年7月に発売され、高画質・長時間記録・高感度を特徴とした屋外用の映像カメラで、電動ズームレンズを搭載しており、ネットワーク上でズームの調整が可能な製品です。セキュリティカメラのため、いかに長時間、綺麗な映像を、容量小さく記録できるかが非常に重要となります。
また、遠距離照射用のハイパワー赤外LEDと近距離照射用のミドルパワー赤外LEDの2種類の光源を搭載しており、長距離でも近距離でも明るく撮影することが可能です。
屋外用カメラは、マンションやビルの入り口・通用口に多く使われており、“暗いところでもよく見えるカメラ”というのは弊社の中で売れ筋のラインアップとなります。その中で今回、より長距離で明るく撮ることを実現するため、ハイパワー赤外LEDを採用しました。
低照度時(夜間)の撮影において、他社製品と比べて画面のちらつき、ノイズのない綺麗な映像が取れること、またシリーズ全体として逆光補正の性能が非常に良く、昼間の太陽光や、夜間の自動車のヘッドランプの光に対しての補正が優れていることが特徴です。
長距離用と近距離用の赤外LEDをバランスよく配置することで高い性能を実現
赤外LEDについて、スルーホールタイプ(砲弾型)LEDから表面実装タイプLEDに変えることで苦労した点は?
最も苦労したのは、LEDの配置です。従来は円型に多数のスルーホールタイプを配置していましたが、今回コンセプトを変えて長距離用と近距離用のLEDをバランスよく配置することで、従来品に対して少ない数のLEDでより高い性能を実現しようとなりました。そこで0ルクスに近い環境下で試験を行い、目標である50m先の照射を目指していましたが、なかなか求めているレベルの性能が出ませんでした。
その中でスタンレー電気へ基板の配置を相談したところ、配置の異なる何種類かの基板サンプルを短期間で作成して頂きました。それを何度も繰り返すことで、今のベストな配置を見つけることができました。
元々スルーホールタイプを使用していた中で、表面実装タイプを使用する案が社内で出たこともありましたが、熱や配置についての不安も多く、誰もトライできていませんでした。しかしスタンレー電気の営業担当からの提案やサポートを受け、実際に評価をしていく中で、思っていたよりも危惧する問題が少ないことがわかっていきました。
スルーホールタイプLEDから表面実装タイプLEDに変更すると決まった背景を教えてください。
アナログカメラを発売していた当時から、赤外LEDを使って暗いところでも遠くまで綺麗に見えるということが自社製品の売りでした。その強みを生かし、他社よりもさらに遠距離を見ることが実現できるカメラを作りたいという思いから開発がスタートし、市場要求に応えるべく、20mから50mへの照射距離の長距離化を目指すことになりました。
スルーホールタイプLEDを使用して照射距離50mを実現するためには、狭い指向特性のLEDを使って数を増やしていくしかありませんが、熱の上限があり、どうしても1個1個のLEDの光量が下がる、真ん中だけに光が集まって、外側が暗い不自然な絵になってしまうなどの課題がありました。そのため広範囲で強い光を発する表面実装タイプLEDを使うことで、絵が崩れないようにしたいという思いがありました。
結果として、国内固定型カメラにおいて最高水準の赤外照射距離を確保することができました。
技術的な質問やLED搭載位置の相談にも迅速かつ親身に対応して頂きました
弊社製品を知ったきっかけを教えてください。
表面実装タイプLEDを使用することに決まった際、試作時は他社製品を使っていました。
元々インジケーターなどの表示用にスタンレー電気製の可視光LEDを採用していましたが、ハイパワー赤外LEDのラインアップもあるという情報を他部署から紹介してもらいました。試作で使用していたLEDが課題を抱えていたため、スタンレー電気にその課題について相談を行ったところ、一緒に解決する方法を検討してくれました。
採用の決め手を教えてください。
とにかく対応が良かったことです。コスト面で海外メーカー等も検討していましたが、質問への回答に時間がかかり、本当の課題であるLEDの配置について議論する段階までなかなか進みませんでした。一方、スタンレー電気は技術的な質問に対してもすぐに回答頂き、また試作基板へのLED搭載もサポートして頂きました。セキュリティカメラという製品は常設した状態で通電している製品なので、製品寿命・信頼性も大きな課題でしたが、それに対する回答も早急に対応して頂き、安心して採用することができました。
採用したことによる製品としての効果を教えてください。
従来の真ん中だけ明るく、全体として歪んでしまっていた映像に対して、広角の赤外LEDを使うことで、均一で明るく映し出されるようになったという評価を頂いています。また外観に関しても、スルーホールタイプLEDをたくさん並べたものよりスタイリッシュになったという声も多く、LEDの搭載数が大幅に減ったことでLEDの赤見えを嫌うお客様にも高評価を頂いています。
製造面においても工数削減に繋がりました。多数のスルーホールタイプLEDを、手実装で、しかも高さや傾きの細かい要求通りに配置するのは大変な作業でしたが、表面実装タイプLEDを使うことで、マウンターを使ったばらつきのない配置が可能になったことで工場も助かっていると思います。
セキュリティカメラのニーズ多様化に対応していくために
セキュリティ事業におけるイノベーションへの取組を教えてください。
業界的にハードウェアでの差別化が難しくなってきており、AIやディープラーニングといったソフト面の差別化がポイントになってくると思います。一方で、スタンレー電気のLEDのような特徴のある部品を使っていくことで“ソフトウェアを支えるハードウェア”として、他社ではできないようなことを実現していきたいと考えています。
今後セキュリティカメラはどう進化していくでしょうか。またその進化に対して、LEDに期待することはありますか?
一点目として、今までは長距離照射ができれば良かったですが、今後はニーズが多様化していくと考えています。より遠く100m、200mまでLEDを照射するにはどうしたらよいかを考えつつ、広角のレンズで広く撮りたいニーズへの対応も合わせて検討していかなければならないと思っています。また、カメラの映像をモニタリングするのみでなく、その映像から何をどうセンシングするか、情報をどのように通知していくかが重要となっていくため、近距離と遠距離で使い分けるような用途が増えていくと考えています。そのため、赤外LEDも今後はハイパワータイプのみでなく、ニーズに合わせたバリエーションが必要です。
二点目として、今後は映像をそのまま見るだけでなく、機械学習や高解像度化が進んでいくなかで、大きく広い範囲をカメラで捉え、その中から必要な情報のみを絞り込んでいくような動きも進んでいくと言われています。そうなったときはスポットではなく、広い範囲を照射するLEDが必要になっていくのではないかと思います。そのため近距離広範囲と遠距離狭範囲の両方を1つで照射できる赤外LEDも今後必要になっていくのではないでしょうか。
- TOA株式会社様
映像機器においては、1983年から発売を開始し、現在では同軸カメラ・IPカメラを二本軸として、国内向けに販売。防犯用途に限らずお客様ニーズに合わせた様々なソリューションを展開。